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腰椎椎間関節炎で休養していた新井が、甲子園での中日戦で復帰した。
当初は、オールスターも五輪も危険視されていたが、
腰に神経ブロック注射を射ち、どの試合も辞退しないという。


「五輪も大事だし、球宴も大事だし、ペナントも大事。そこに優先順位はないです。3つとも同じくらい大切。」


そう新井は言う。

これを聞いてみんなどう思うんかな。

「かっこいい」
「男気がある」

そんな風に思う人が多いんでしょうか。

でも、あたしはちっともかっこいいとは思えない。
どれも大事で選べないなんて、
まるで「君も好きだけど、彼女のことも大事なんだ」と言ってる、優柔不断の二股ヤローにしか思えない。
新井さんの場合、三股かけてるからもっとタチが悪い。

そういうことを言う奴は、たいていどれも大事にできない。
結局、自分が一番大事なんだ。
自分が悪者になりたくない。
それぞれに誠意を見せようとするが、どれも中途半端に終わってしまう。

新井の場合、球宴は、選んでくれたファンのために、
五輪は、星野監督と日本のために。
そんな気持ちがあるのだろう。

それはわかる。
誰よりも人のつながりを大事にし、
ファンを大事にし、
野球を大事にしてきた新井なのだから、当然のことだろう。

それが3つともこなせるだけの、精神的・肉体的余裕が新井にあれば問題ないのだ。

しかし、今の新井にそんな余裕はない。

復帰した試合も、代打で出た1日目は打点を挙げ、
あと2日も1本ずつヒットを打ったけれど、
素人の目から見てもわかる、崩れたバッティングフォーム。
空振りの後の苦痛に満ちた表情。
中日戦3日目、守備で打球に飛びついたけれど、
そのあと起き上がるのに相当な時間がかかった。


球宴に出るのはいい。
オリンピックに出るのもいい。
でも、そこで満足のいくプレーができるのか?

野球選手は、ファンに夢を与える仕事のはず。
アイドルがトイレになんか絶対行かないんだと思いたいように、
野球選手はけがもせず、いつも元気でプレーしていると思いたい。
それなのに、スイングする度に、走塁する度に、
あんなに痛そうな顔をしているのは、できれば見たくないのだ。

休めば、自分のポジションがなくなってしまうという危機感もあるかもしれない。
現に平野は、肉離れで1カ月ほど休んでいる間に、
関本にその席を奪われてしまった。
でも、それはそれで仕方のないことではないのか。
嫌なら怪我をしないような体を作ればいい。
優秀なアスリートは、怪我もあまりしないような気がする。
突発的な事故は仕方ないとしても、体を酷使した結果の怪我はない。
イチローがどっか痛いとか聞いたことがない。
イチローの体のケアは徹底しているのだ。
筋肉の一本一本にまで神経を巡らせているのではないかと思わせる。
金本も同様。

これほどまでの故障を抱えるまでには、何らかの前兆があったはず。
でも人間は、どこか痛いとかしんどいとかいうのがあっても、
少し無理をすればけっこう頑張れてしまうものなのだ。
まだ大丈夫、まだ大丈夫、とやっているうちに、
ついに動けなくなってしまう。
そこで初めてオーバーワークであったのだと気付くのだ。

故障するのは仕方ない。
どこまでやったら自分が故障するのか、わからなかっただけなのだから。
次に同じような痛みが出た時に、
すばやく対応して同じ故障を未然に防ぐことができるだろう。

そのためにも。

新井に今一番必要なのは、「選ぶ」ことだったのだと思う。
ペナントか、球宴か、五輪か。
今年だけじゃなく、これから先の野球人生のことを考えれば、
自ずと答えは出てくるはずだ。

心・技・体、どれが欠けても、人を感動させるプレーはできない。




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